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【高校物理】落下運動①(補足解説と問題の解き方1)【落下運動】【練習問題】
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落下運動①の記事で解説した内容の練習問題となります。
実際に問題を解く際には、解説した内容をどのように用いるのかに注目して読み進めてください。
また、落下運動①の記事で解説していなかった補足内容があれば、この記事に載せています。
「落下運動①」の記事はこちらです。
→落下運動①
→落下運動①(補足解説と練習問題2)
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目次
1.自由落下
1-1.問題1
\(\underline{\bf{問題1}}\)
ある高さの建物の屋上から物体を静かに放すと、物体は落下し5.0秒後に地面に到達した。
このときの建物の高さと、物体が地面に到達する直前の速さを求めよ。
ただし、重力加速度の大きさは\(9.8m/s^2\)とし、空気抵抗は無視できるものとする。
\(\underline{\bf{解答1}}\)
原点と軸の設定をします。
原点は物体を放す位置とし、物体は放した後落下するので下向きを正とします。
また、重力加速度は下向きであり、軸も下向きを正としたので重力加速度の符合は正となります。
静かに放すとは、初速度を加えていないということなので、はじめとあとの状況を整理すると
はじめ:t=0sでv=0m/s
あと:t=5.0sで\(v=v_{あと}\)
また、建物の高さをyとすると、これがv-tグラフの面積となるので、v-tグラフは下図のようになります。
加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&+9.8m/s^2=\frac{v_{あと}-0m/s}{5.0s-0s}\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{あと}=49m/s\end{eqnarray}}\)
v-tグラフの面積から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}y&=&\frac{1}{2}×5.0s×v_{あと}\\\\&=&\frac{1}{2}×5.0s×49m/s\\\\&=&122.5m\\\\&≒&1.2×10^2m\end{eqnarray}}\)
以上から
建物の高さ
\(\underline{1.2×10^2m}\)
地面に到達する直前の速さ
\(\underline{49m/s}\)
1-2.問題2
\(\underline{\bf{問題2}}\)
高さ40mの建物の屋上から物体を静かに放すと、物体は落下し地面に到達した。
このとき、物体が地面に到達するまでの時間と、地面に到達する直前の速さを求めよ。
ただし、重力加速度の大きさは\(9.8m/s^2\)とし、空気抵抗は無視できるものとする。
\(\underline{\bf{解答2}}\)
前問と同様にして、軸と原点の設定をすると、下図のようになります。
また、はじめとあとの状況を整理すると
はじめ:t=0sでv=0m/s
あと:\(t=t_{あと}\)で\(v=v_{あと}\)
建物の高さである40mは、v-tグラフの面積となります。
以上から、v-tグラフは下図のようになります。
これより、加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&+9.8m/s^2=\frac{v_{あと}-0m/s}{t_{あと}-0s}\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{あと}=9.8m/s^2×t_{あと} \cdots①\end{eqnarray}}\)
v-tグラフの面積の式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&40m=\frac{1}{2}v_{あと}t_{あと}\\\\{\Leftrightarrow}&&80m=v_{あと}t_{あと} \cdots②\end{eqnarray}}\)
①、②から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&80m=v_{あと}t_{あと}\\\\{\Leftrightarrow}&&80m=(9.8m/s^2×t_{あと})×t_{あと}\\\\{\Leftrightarrow}&&t_{あと}^2=\frac{80m}{9.8m/s^2}\\\\{\Leftrightarrow}&&t_{あと}^2=\frac{800}{98}s^2\\\\{\Leftrightarrow}&&t_{あと}^2=\frac{400}{49}s^2\\\\{\Leftrightarrow}&&t_{あと}^2=\frac{20^2}{7^2}\end{eqnarray}}\)
よって、
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}t_{あと}&=&\frac{20}{7}s\\\\&≒&2.857s\\\\&≒&2.9s\end{eqnarray}}\)
これを①に代入して
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}v_{あと}&=&9.8m/s^2×t_{あと}\\\\&=&9.8m/s^2×2.86s\\\\&≒&28m/s\end{eqnarray}}\)
以上から、
物体が地面に到達するまでの時間
\(\underline{2.9s}\)
地面に到達する直前の速さ
\(\underline{28m/s}\)
1-3.問題3
\(\underline{\bf{問題3}}\)
高さがHの建物の屋上から物体を静かに放すと、物体は落下し地面に到達し、到達直前の速さはV[m/s]であった。
このとき、次の問に答えよ。
ただし、重力加速度の大きさは\(g[m/s^2]\)とし、空気抵抗は無視できるものとする。
(1)
物体の速さが、到達直前の速さの半分のとき、物体の屋上からの距離はいくらか?
(2)
物体を放してから建物の高さの半分の距離を通過するのにかかる時間は、残りの半分の高さを落下し地面に到達するまでの時間の何倍か?
\(\underline{\bf{解答3}}\)
(1)
物体は落下するので、下向きを正とします。
状況を図示すると下図のようになり、原点は建物の屋上とします。
下向きを正としているので、重力加速度は\(+g[m/s^2]\)となり、v-tグラフは右上がりのグラフとなります。
到達直前の速さの半分の時、すなわち\(\frac{1}{2}V\)のときを考え、このときまでに進んだ距離をhとすると、v-tグラフは次にようになります。
求める値はhとなります。
ここでv-tグラフにおける直角三角形の相似に注目します。
注目する直角三角形は、v-tグラフの面積がHとhのものです。
これらの直角三角形は相似となります。
相似な三角形の”辺の長さの比”と”面積”の関係について
\(\displaystyle{(辺の長さの比)^2=(面積の比)}\)
となるので、これを用いると、
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&\left(\frac{V}{\frac{1}{2}V}\right)^2=\frac{H}{h}\\\\{\Leftrightarrow}&&2^2=\frac{H}{h}\\\\{\Leftrightarrow}&&h=\frac{1}{4}H\end{eqnarray}}\)
従って、到達直前の速さの半分とき、建物の屋上からの距離(物体が下向きに進んだ距離)は
\(\displaystyle{\underline{\frac{1}{4}H}}\)
となります。
(2)
状況設定は(1)とおなじです。
v-tグラフは、屋上の高さの半分を進むのに要した時間を\(t_1\)、さらに半分を進み地面に到達するのに要した時間を\(t_2\)とすると、下図のようになります。
こちらも、直角三角形の相似に注目します。
注目するのは、一辺が\(t_1\)の直角三角形と一辺が\(t_1+t_2\)の直角三角形です。
また、”物体を放してから建物の高さの半分の距離を通過するのにかかる時間は、残りの半分の高さを落下し地面に到達するまでの時間の何倍か”をきかれています。
いま、
“物体を放してから建物の高さの半分の距離を通過するのにかかる時間”を\(t_1\)
“残りの半分の高さを落下し地面に到達するまでの時間”を\(t_2\)
としているので、\(t_1\)は\(t_2\)の何倍かをきかれています。
たとえば、6は3の何倍かをきかれたら
\(6÷3=2\)
となり、”はじめの値(6)÷あとの値(3)”を計算して、2倍となります。
今回も同様にして、はじめの値(\(t_1\))÷あとの値(\(t_2\))、すなわち
\(\displaystyle{\frac{t_1}{t_2}}\)
を求めればよいことになります。
(1)のときと同様にして、相似な三角形の”辺の長さの比”と”面積”の関係、
\(\displaystyle{(辺の長さの比)^2=(面積の比)}\)
を用いると、
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&\left(\frac{t_1+t_2}{t_1}\right)^2=\frac{H}{\frac{1}{2}H}\\\\{\Leftrightarrow}&&\left(\frac{t_1+t_2}{t_1}\right)^2=2\end{eqnarray}}\)
より、
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&\frac{t_1+t_2}{t_1}=\sqrt{2}\\\\{\Leftrightarrow}&&t_1+t_2=\sqrt{2}t_1\\\\{\Leftrightarrow}&&t_2=(\sqrt{2}-1)t_1\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{t_1}{t_2}=\frac{1}{\sqrt{2}-1}\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{t_1}{t_2}=\frac{1}{\sqrt{2}-1}×\frac{\sqrt{2}+1}{\sqrt{2}+1}\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{t_1}{t_2}=\frac{\sqrt{2}+1}{2-1}\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{t_1}{t_2}=\sqrt{2}+1\end{eqnarray}}\)
よって、
\(\underline{\sqrt{2}+1{\bf{倍}}}\)
となります。
今回は直角三角形の相似を用いて解きましたが、各時間や速度を自分で設定して、加速度の定義式とv-tグラフの面積を求める式を用いても解くことができます。
例えば、(1)については速さが\(\frac{1}{2}V\)になったときの時刻を\(T_1\)、速さが\(V\)のときの時刻を\(T_2\)とすると、下図のようなv-tグラフになります。
面積がhの直角三角形に注目して、加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&+g=\frac{\frac{1}{2}V-0m/s}{T_1-0s}\\\\{\Leftrightarrow}&&T_1=\frac{V}{2g} \cdots①\end{eqnarray}}\)
v-tグラフの面積から
\(\displaystyle{h=\frac{1}{2}・\left(\frac{1}{2}V\right)・T_1 \cdots②}\)
①を②に代入して
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}h&=&\frac{1}{2}・\left(\frac{1}{2}V\right)・T_1\\\\&=&\frac{1}{2}・\left(\frac{1}{2}V\right)・\frac{V}{2g}\\\\&=&\frac{V^2}{8g} \cdots③\end{eqnarray}}\)
次に、面積がHの直角三角形に注目して、加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&+g=\frac{V-0m/s}{T_2-0s}\\\\{\Leftrightarrow}&&T_2=\frac{V}{g} \cdots④\end{eqnarray}}\)
v-tグラフの面積から
\(\displaystyle{H=\frac{1}{2}・V・T_2 \cdots⑤}\)
③を⑤に代入して
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}H&=&\frac{1}{2}・V・T_2\\\\&=&\frac{1}{2}・V・\frac{V}{g}\\\\&=&\frac{V^2}{2g} \cdots⑥\end{eqnarray}}\)
③÷⑥をして
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&\frac{h}{H}=\frac{\frac{V^2}{8g}}{\frac{V^2}{2g}}\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{h}{H}=\frac{1}{4}\\\\{\Leftrightarrow}&&h=\frac{1}{4}H\end{eqnarray}}\)
と、同じように答えを導くことができます。
(2)についても、同じようにそれぞれの時点での速度を設定し、加速度の定義式とv-tグラフの面積の式から答えを導くことができます。
2.鉛直投げ下ろし
\(\underline{\bf{問題}}\)
高さ100mの建物の屋上から、ある初速度で物体を鉛直下向きに投げると、4.0秒後に地面にぶつかった。
このときの物体の初速度と地面にぶつかる直前の速さを求めよ。
ただし、重力加速度の大きさは\(9.8m/s^2\)とし、空気抵抗は無視できるものとする。
\(\underline{\bf{解答}}\)
初速度を\(v_{はじめ}\)、地面にぶつかる直前の速さを\(v_{あと}\)とし、下図のように軸と原点を設定します。
はじめとあとの情報を整理すると
はじめ:t=0sで\(v=v_{はじめ}\)
あと:t=4.0sで\(v=v_{あと}\)
これより、v-tグラフを描くと下図のようになります。
加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&+9.8m/s^2=\frac{v_{あと}-v_{はじめ}}{4.0s-0s}\\\\{\Leftrightarrow}&&39.2m/s=v_{あと}-v_{はじめ} \cdots①\end{eqnarray}}\)
v-tグラフの面積から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&100m=\frac{1}{2}×4.0s×(v_{あと}+v_{はじめ})\\\\{\Leftrightarrow}&&50m=v_{あと}+v_{はじめ} \cdots②\end{eqnarray}}\)
①+②から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&2v_{あと}=89.2m/s\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{あと}=44.6m/s\end{eqnarray}}\)
より、地面にぶつかる直前の速さは
\(\underline{45m/s}\)
また、\(v_{あと}=44.6m/s\)を②に代入して
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&50m/s=v_{あと}+v_{はじめ}\\\\{\Leftrightarrow}&&50m/s=44.6m/s+v_{はじめ}\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}=50m/s-44.6m/s\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}=5.4m/s\end{eqnarray}}\)
よって、初速度は
\(\underline{5.4m/s}\)
3.鉛直投げ上げ
3-1.問題1
\(\underline{\bf{問題1}}\)
鉛直上向きにある初速度で物体を打ち上げたところ、高さ40mで最高点に達した。
このときの物体の初速度と、打ち上げてから最高点に達するまでの時間を求めよ。
ただし、重力加速度の大きさは\(9.8m/s^2\)とし、空気抵抗は無視できるものとする。
\(\underline{\bf{解答1}}\)
軸の設定をします。
今回は、鉛直上向きに投げているので、この向きを正とします。
その際に、とった軸の正の向きと重力加速度の向きが異なるので、重力加速度は\(-9.8m/s^2\)と負になることに注意します。
最高点の高さ40mは、v-tグラフの面積となります。
また、初速度を\(v_{はじめ}\)、最高点に到達したときの時刻を\(t_{あと}\)としています。
状況を整理すると
はじめ:t=0sで\(v=v_{はじめ}\)
あと:\(t=t_{あと}\)でv=0m/s
このとき、最高点に到達
重力加速度は\(-9.8m/s^2\)と負なので、v-tグラフは右下がりとなります。
v-tグラフを描くと、下図のようになります。
加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&-9.8m/s^2=\frac{0m/s-v_{はじめ}}{t_{あと}-0s}\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}=9.8m/s^2×t_{あと} \cdots①\end{eqnarray}}\)
v-tグラフの面積から、三角形の面積を求める式を用いて
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&40m=\frac{1}{2}v_{はじめ}t_{あと}\\\\{\Leftrightarrow}&&t_{あと}=\frac{80m}{v_{はじめ}} \cdots②\end{eqnarray}}\)
②を①に代入して
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&v_{はじめ}=9.8m/s^2×t_{あと}\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}=9.8m/s^2×\frac{80m}{v_{はじめ}}\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}^2=80×9.8m^2/s^2\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}^2=8×98m^2/s^2\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}^2=16×49m^2/s^2\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}^2=4^2×7^2m^2/s^2\\\\{\Leftrightarrow}&&v_{はじめ}^2=28^2m^2/s^2\end{eqnarray}}\)
よって、
\(v_{はじめ}=28m/s\)
これを②に代入して
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}t_{あと}&=&\frac{80m}{v_{はじめ}}\\\\&=&\frac{80m}{28m/s}\\\\&≒&2.857s\\\\&≒&2.9s\end{eqnarray}}\)
以上から
物体の初速度
\(\underline{28m/s}\)
打ち上げてから最高点に達するまでの時間
\(\underline{2.9秒}\)
3-2.問題2
\(\underline{\bf{問題2}}\)
高さ210mの建物の屋上から、物体を鉛直上向きに初速度28m/sで打ち出した。
このときの最高点に達するまでの時間、建物の屋上から最高点までの高さおよび、物体が地面に達するまでの時間を求めよ
ただし、重力加速度の大きさは\(9.8m/s^2\)とし、空気抵抗は無視できるものとする。
\(\underline{\bf{解答2}}\)
軸を設定します。
鉛直上向きに物体を発射しているので、この向きを正とします。
また、建物の屋上から最高点までの高さをh、最高点に達する時間をt、物体を発射してから地面に達するまでの時間を\(t^{\prime}\)とします。
重力加速度は\(-9.8m/s^2\)と負なので、v-tグラフは右下がりのグラフとなります。
よって、v-tグラフは下図のようになります。
最高点に到達したときを、あとの状態だと考えると
はじめ:t=0sでv=+28m/s
あと:t=tでv=0m/s
加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&-9.8m/s^2=\frac{0m/s-(+28m/s)}{t-0s}\\\\{\Leftrightarrow}&&t=\frac{28}{9.8}\\\\{\Leftrightarrow}&&t=\frac{20}{7}\\\\{\Leftrightarrow}&&t≒2.857s\\\\{\Leftrightarrow}&&t≒2.9s\end{eqnarray}}\)
また、v-tグラフの面積から、三角形の面積を求める式を用いて
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}+h&=&\frac{1}{2}×28m/s×t\\\\&=&\frac{1}{2}×28m/s×\frac{20}{7}s\\\\&=&40m\end{eqnarray}}\)
以上から、
建物の屋上から最高点までの高さ
\(\underline{40m}\)
最高点に達する時間
\(\underline{2.9秒}\)
次に、物体を発射してから地面に達するまでの時間を求めますが、工夫してみます。
○難問→易問とするために
\(\textcolor{red}{\bf{三角形の相似を利用}}\)
v-tグラフにおける、正の面積と負の面積を形作る直角三角形について、これらは相似な図形となります。
ここで、相似な三角形の”辺の長さの比”と”面積”の関係について
\(\displaystyle{(辺の長さの比)^2=(面積の比)}\)
となるので、
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\left(\frac{\textcolor{red}{t^{\prime}-\frac{20}{7}}}{\textcolor{green}{\frac{20}{7}}}\right)^2=\left(\frac{\textcolor{red}{250m}}{\textcolor{green}{40m}}\right) \cdots①\end{eqnarray}}\)
ここで、上式右辺について
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}\frac{250}{40}&=&\frac{25}{4}\\\\&=&\frac{5^2}{2^2}\\\\&=&\left(\frac{5}{2}\right)^2\end{eqnarray}}\)
これより①式の2乗の中身だけをみて
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&\frac{t^{\prime}-\frac{20}{7}}{\frac{20}{7}}=\frac{5}{2}\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}-\frac{20}{7}=\frac{5}{2}×\frac{20}{7}\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}=\frac{5}{2}×\frac{20}{7}+\frac{20}{7}\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}=\frac{20}{7}\left(\frac{5}{2}+1\right)\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}=\frac{20}{7}×\frac{7}{2}\\\\{\Leftrightarrow}&&10s\end{eqnarray}}\)
よって、物体が地面に達するまでの時間は
\(\underline{10秒}\)
※
もちろん、負の面積部分で加速度の定義式と面積を求める式を用いても、地面に達するまでの時間を求めることができます。
地面に到達する直前の速度を\(v^{\prime}\)とすると、加速度の定義式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&-9.8m/s^2=\frac{v^{\prime}-0m/s}{t^{\prime}-t}\\\\{\Leftrightarrow}&&v^{\prime}=-9.8(t^{\prime}-t) \cdots②\end{eqnarray}}\)
面積を求める式から
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&-250m=\frac{1}{2}×v^{\prime}×(t^{\prime}-t)\\\\{\Leftrightarrow}&&-500m=(t^{\prime}-t)×v^{\prime} \cdots③\end{eqnarray}}\)
②を③に代入して
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&-500m=(t^{\prime}-t)×v^{\prime}\\\\{\Leftrightarrow}&&-500m=-9.8m/s^2×(t^{\prime}-t)^2\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{500}{9.8}s^2=(t^{\prime}-t)^2\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{5000}{98}s^2=(t^{\prime}-t)^2\\\\{\Leftrightarrow}&&\frac{2500}{49}s^2=(t^{\prime}-t)^2\\\\{\Leftrightarrow}&&\left(\frac{50}{7}s\right)^2=(t^{\prime}-t)^2\end{eqnarray}}\)
よって、
\(\displaystyle{\begin{eqnarray}&&t^{\prime}-t=\frac{50}{7}s\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}=\frac{50}{7}s-t\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}=\frac{50}{7}s-\frac{20}{7}s\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}=\frac{70}{7}s\\\\{\Leftrightarrow}&&t^{\prime}=10s\end{eqnarray}}\)
となります。
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